インプラント治療

インプラントとは、医療用語で、人工的な物を体に組み入れることの総称で、医科では、骨折などで人工素材を入れて骨をつないで補強するものや、肘や膝の関節に用いる人工関節などもインプラントといわれます。

歯科インプラントはご自分の歯を、何らかの原因で喪失した部分の顎の骨の中に、 人工のチタン製の歯根を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療方法を言います。

インプラントは人工歯根とも呼ばれ、天然歯に近い構造をもち、口の中の機能回復と審美性を追求した新しい歯科治療です。

他の歯を削らなければならないブリッジや取り外しの入れ歯と異なり、ご自分の歯と同じように治すことができる画期的な治療法です。

当院では世界で最も多く使われている、信頼性の最も高いスイスのストローマン社のITIインプラントを使用しています。

インプラントは歯肉を切開して、その下にある骨にフィクスチャーと呼ばれるインプラント本体を埋め込み、骨と直接結合させたのち、アバットメントと呼ばれる歯肉を貫通する部分をネジで固定し、上部構造物と呼ばれるかぶせ物を作っていきます。

上部構造の部分は貴金属を使ったものや、審美的にすぐれているセラミック系、もしくはハイブリッドレジンと呼ばれる一種のプラスチック系の材料を選択することが可能です。

インプラントの利点と欠点

歯の抜けた場所に新たに歯を入れる方法には「ブリッジ」、「入れ歯」、「インプラント」という3つの方法があり、周りの歯の状態や患者さん本人の希望により選択することができます。各々利点と欠点がありますので、比較して選択することが重要です。

ブリッジ

抜けた部分の前後の歯を削り、一塊のかぶせ物を作りセメントで固定する方法です。

あたかも前後の歯に橋渡しをしているような形態をしていることから橋(ブリッジ)と呼ばれています。

この「削る」という部分がブリッジの欠点です(健全な歯を削ることはできれば避けたいことです。)が、取りはずしのわずらわしさもなく、違和感もほとんど無いのが良い所です。また金属であれば保険が適応内になるケースが多いです。

ただし、歯の抜けている部分が大きい時や、支えになる歯が歯周病でブリッジを支える力が弱い時などは、支えになる歯の数本を増やさなければならない事もあり、設計を慎重に行う必要があります。

入れ歯

いわゆる「取りはずし式」のものです。適応範囲が広く、歯が1本だけ抜けた時の部分入れ歯から全部抜けた時の総入れ歯まで、様々な場合に対応できます。

欠点は、歯肉色の樹脂のアゴで歯肉を覆うため、違和感が大なり小なりあることと、取りはずしの煩らわしさがあることです。

また、入れ歯を支える歯にクラスプと呼ばれる金属のバネがかかるため、審美的な問題もあります。 (保険適用外になりますが、クラスプのない審美的な入れ歯や床に金属を使って薄くして違和感を減らし、装着感を良くした入れ歯もあります。詳しくは特殊義歯をご覧下さい)

ただし、歯をほとんど削らないでできることや、かむ力を歯肉にも分散させるため、残っている歯の本数が少ない時や、歯周病で多少動くようになった歯でも支えとして使うことができるなど、ブリッジとは異なった利点があります。

インプラント

インプラントの利点は骨と直接結合した「独立した」歯として機能させることができるため、噛む力も天然の歯とほとんど変わらず、よく噛むことができます。

また、隣の歯を削ったりする必要もなく、クラスプをかけることもないため違和感もありません。外見上も自然で不自然さがありません。

欠点は手術が必要なことや、健康保険が適用されないため費用がかかること、治療期間も長くなることが挙げられます。ブリッジとは異なった利点があります

インプラントの寿命

インプラントは、歯ぐきとなじみがよく、腐食しにくい丈夫なチタンを使用していますが、インプラント治療後のメインテナンスを怠ると天然の歯と同様、歯槽膿漏の状態になり、インプラントが抜け落ちることがあります。(インプラント歯周炎と呼ばれています。)

インプラントを施術された方は、特に口の中の衛生状態に気をつけ、きちんと定期検診を受けることが、長持ちさせる秘訣です。

骨をあまりドリルしないインプラント手術(OAMインプラントシステム)

現在、当院では骨をほとんど削らない最新のインプラント手術(OAMインプラントシステム)も取り入れています。

今までのインプラント手術は、下の図のようにドリルでインプラントを埋め込むための穴を形成しておりました。

そのため骨の幅があまりない場合には他の部分から骨を持ってきて移植をするか、新たに骨を作る手術が必要でした。

これらの手術を行うことなくインプラントを埋め込むことができることがOAMインプラントシステムの一番の利点です。

OAMインプラント手術方法

0.5ミリの丸いバーで表層の硬い骨に先行穴を開けます。

リーマー(針の様なもの)で揉みこみます。

オーギュメーター(きり状のもの)0.5ミリを挿入し手技のみで回転運動させます。

器具の径を段階的に太く替えていき、徐々に骨幅の拡大をします。

0.2ミリずつのサイズアップにより骨が烈壊するのを回避します。

必要なインプラント禍まで拡大できたところで、インプラントを埋入します。

 OAMインプラント実際の治療例

①治療前

(左下の2本を失っていました。残っている骨の幅が狭く、5mm程度しかありません)

②治療後

(OAMを用いて骨幅を広げ、4.1mm径のインプラント埋入後、天然歯と同じように白くかぶせております。)

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